主人公は、小学四年生の奈央。
勉強の方はまあまあだけど、クラスメイトから頼りにしてもらっているし、学級委員長には、自分がいちばん向いていると思っていたのに。
学級委員長に立候補しておきながら、じゃんけんであっけなく負けてしまった奈央は、いちばん地味な美化委員に。
そこで一緒になった楽は、何を言ってものんびりしているし、腕が長くて、なんだかナマケモノみたいな男の子。
でも、あることがきっかけで楽がボルダリングのスクールに通っていることを知った奈央は、その面白さにひかれて、自分もやってみたいと考えるようになる。
結局、ダイエットにがんばっているお父さんとともに、楽の通うボルダリングスクールに顔を出すようになった奈央は、そこで経営者のロバ先生やネコ先生と出会い、自分の世界を広げていく。
何事に対しても中途半端にしかできなかった主人公が、ボルダリングというひとつの競技に集中しがんばる姿が初々しい。
さわやかな読後感が印象的な、少女の成長物語。