「科学でナゾとき!」シリーズも今回で三作目。
青葉小学校のパーフェクトな児童会長を目指す彰吾と、変人理科教師にして彰吾の父親であるキリン先生が、今回も科学を使って身近なミステリーに挑む。
真夏の暑さの中で、壊れてしまった冷蔵庫の代わりに、ジュースを冷やす方法を探る「ジュースひえひえ事件」
副会長の夏鈴の弟のために、溶けてしまったスライムの謎を解く「スライムどろどろ事件」
子供たちが育てたニラ畑が、何者かによって荒らされる「夏のニラ畑事件」
そして、副題ともなっている「星空キャンプ事件」と、それぞれ、どこか懐かしさを感じさせる夏休みの自由研究のような楽しいミステリーが、身近な科学の世界へ読者をいざなってくれる。
今回は、彰吾にとって最強のライバルとなる新しいキャラクターが登場。
青葉小学校のとなりの学区にある赤羽小学校の児童会長、中島拓実は、これまた、彰吾も舌を巻くほどの変人ナルシストだ。
おたがいに相手を出し抜こうとライバル心をむき出しにする二人だが、なんだか、拓実の方は彰吾とは次元のちがう深刻な悩みを抱えている様子。
信州の山の上にある宿泊施設で行われる「星空キャンプ」で、偶然にも出くわしてしまった二人は、ここでも意地を張りあうことになるのだが・・・。
キリン先生が自分の父親だと知られたくない彰吾に、最大の危機が訪れる。
はたして、彰吾は、自分と同じくらい優秀で観察眼の鋭い拓実から秘密を守ることができるのか?
・・・と、事件とは言っても、何か恐ろしい出来事がおこるわけではない、ワクワク感にあふれた謎が満載の本作。
キリン先生が熱弁をふるう科学のうんちくも、めんどくさいなあと思っている主人公といっしょになって、楽しく学ぶことができます。
また、彰吾のまわりを固める脇役たちも、思わず、くすっと笑ってしまうような魅力的なキャラクターばかり。
本が苦手な子供でも、一気に読めてしまうこと間違いなしのお勧めの一書です。