著者:高井節子 絵:高井圭二、たかいなつこ
(静岡新聞社)
小学四年生の「ぼく」とおじいちゃん、おばあちゃん、家族みんなの物語。
病気になってしまったおじいちゃんは、手術を受けて退院してきます。
でも、本当によくなったわけではなくて、おばあちゃんの看護を受けながらの毎日です。
そんなおじいちゃんは、花の絵を描くのが大好きで、家族が持ってきてくれた花を次々とスケッチしていきます。
静かな文体で書かれた家族の物語には、派手な展開はなくとも、読者をひきつける不思議な力があります。
やがて、体調を悪化させたおじいちゃんから、「ぼく」は、戦争で亡くなったおじいちゃんのお兄さんの話を聞かされます。
作者は、作品の中に出てくるおばあちゃんご本人。
挿絵もご長女が描かれているとのことですが、淡いタッチの絵が文と一体となって、美しい作品に仕上がっています。
また、花の絵は、実際におじいちゃんであるご主人が描かれたもの。
親子で読んでほしい一冊です。