長編小説

イラスト/Mei(めい)


七番目の藍

十四歳の藍は、田舎町の学校に通う中学二年生。

現在は、看護師の母さんと二人だけで暮らしている。

藍には、父さんがいない。

消防士だった藍の父さんは、今から三年前、火災現場に取り残された子供を救おうとして殉職してしまった。

なぜ、家族を残して先に逝ってしまったのか、父さんに対してわだかまりを持つ藍。

そんな藍の前に白井ユウという名の小学一年生の男の子が現れる。

いつも、ズボンのポケットに「マイティロボ」の人形を入れてひとりで遊んでいるユウ。

彼との出会いをきっかけに、藍のまわりで奇妙なことが起こり始める。

心に傷を持つ少女と、生と死の境をつなぐ者たちとの間で繰り広げられる、どこかおかしなハートフルストーリー。


平成港町ウォーズ

バブル経済崩壊直後の日本。

小学六年生の内藤健二は、体力と根性だけがとりえの野球少年だ。

ある日、上条美雪と名乗る美少女が、健二の通う小学校に転校してくる。

いつも超然としていて、健二に上から目線でポンポンとものを言う美雪に、健二は猛反発する。

実は、彼女の出現は、健二の住む小さな港町への進出をもくろむ、有名なショッピングセンターの建設と深く関わっていた。

建設に反対する地元商店街と、建設を強硬に推し進めようとするショッピングセンター。

対立は、どんどんエスカレートし、やがて、町をあげての暴動へと発展していくことになるのだが・・・。

立場の異なる大人たちのはざ間でゆれ動く、少年少女たちの短い季節の物語。